トライアルの業績は増収が続き、2026年6月期は売上1兆3,471億円になった
トライアルの業績好調とは、2025年6月期に25期連続の増収を達成し、続く2026年6月期には西友の完全子会社化を経て、売上高1兆3,471億円・営業利益303億円と売上・営業利益ともに過去最高を更新した状態のことです。
まず数字を並べます。取引先として見るときは、印象ではなく決算の数値から入るのが確実です。
直近5年の売上高と営業利益(2021年6月期〜2026年6月期)
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決算期 |
売上高 |
前期比 |
営業利益 |
備考 |
|---|---|---|---|---|
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2021年6月期 |
1,574億円 |
— |
20億円 |
— |
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2022年6月期 |
5,955億円 |
記載しない |
120億円 |
連結範囲の変更を伴う可能性あり |
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2023年6月期 |
6,531億円 |
+9.7% |
140億円 |
— |
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2024年6月期 |
7,179億円 |
+9.9% |
192億円 |
— |
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2025年6月期 |
8,038億円 |
+12.0% |
211億円 |
25期連続増収を達成 |
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2026年6月期 |
1兆3,471億円 |
+67.6% |
303億円 |
西友完全子会社化後の初年度 |
出典:トライアルホールディングス公式IR(2025年6月期)、IR BANK(トライアルHD決算資料集計、2021〜2025年6月期)、日本経済新聞・流通ニュース(2026年6月期)。前期比のうち2025年6月期の+12.0%と2026年6月期の+67.6%は公表値です。2023年・2024年6月期の前期比は、上記の売上高から筆者が算出した数値です。2022年6月期は後述の理由により算出していません。
2022年6月期の急増は「事業が5倍になった」という意味ではない
2021年6月期の1,574億円から2022年6月期の5,955億円へ、売上高は大きく跳ねています。ただし、これを成長率として読むのは誤りです。この期はグループの連結範囲の変更を伴う可能性があり、同じ物差しで前年と比べられません。
連結範囲とは、決算にどの会社の数字を合算するかという範囲のことです。この範囲が変わると、事業そのものが変わっていなくても売上高は動きます。数字の段差を見たら、まず「何が足されたのか」を疑う。これは2026年6月期にも同じことが言えます。
営業利益は過去最高、一方で当期純利益は前期比70.0%減
2026年6月期の営業利益は303億7,100万円で過去最高です。前期比の増加率は報道によって43.9%〜49.2%と表記に差があります。一方、当期純利益は35億2,200万円で、前期比70.0%減です。
営業利益が増えているのに最終利益が減る。ここは好調という言葉だけでは説明がつかない部分です。差が生じている場所は、決算短信の損益計算書をたどると2か所に特定できます。
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段階 |
2026年6月期の金額 |
前の段階からの差 |
差が出ている行 |
|---|---|---|---|
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営業利益 |
303億7,100万円 |
— |
— |
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経常利益 |
201億8,600万円 |
▲101億8,500万円 |
営業外収益と営業外費用の差し引き |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
35億2,200万円 |
▲166億6,400万円 |
特別損益と法人税等 |
出典:トライアルホールディングス2026年6月期決算短信(2026年8月13日発表)の公表値。各段階の差額は、この公表値から筆者が算出したものです。
つまり、営業利益が過去最高でも最終利益が残らなかった理由は、営業利益より下の2つの段階にあります。前期比では、経常利益が9.1%減、当期純利益が70.0%減です(出典:流通ニュース)。また同社は、第4四半期に借入金の借り換えに伴う一過性の費用55億円を計上したと報じられています(出典:ロイター)。
ただし、営業外費用・特別損失・法人税等それぞれの金額までは、本記事で参照できた資料では確認できませんでした。なお当期純利益は従来予想の5億円に対して35億円で着地しており、会社は売上高が想定以上に堅調だったことと、特別損失が想定を下回ったことを理由に挙げています(出典:ロイター)。
卸の立場でこの数字をどう読むか
卸専門の流通コンサルとして見ると、この数字の読み方は投資家とは違います。結論から言うと、実店舗への卸を広げたいメーカーにとって、トライアルは優先度の高い相手です。理由を4つに整理します。
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見るところ |
公表されている数字 |
メーカーにとっての意味 |
|---|---|---|
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売上規模 |
2026年6月期の売上高1兆3,471億円(前期比+67.6%) |
西友が同じグループに入り、九州中心だった相手が首都圏の店舗まで抱える相手に変わりました。1社に提案して届きうる店舗数の上限が、一段上がっています |
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客数 |
西友の既存店客数が2026年1月以降プラス5%超、5月にプラス10%超 |
棚を取ったあとの回転が見込めます。店舗数だけ増えて客足が落ちている相手とは逆の状態です |
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連続増収 |
2025年6月期で25期連続 |
単年の好決算ではなく、長期にわたって伸び続けてきた相手です。取引先としての安定性の材料になります |
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営業利益率 |
売上高1兆3,471億円に対し営業利益303億円(約2.3%/筆者算出) |
利益率が高い相手ではありません。掛け率や販促費の要求は厳しくなる前提で、価格を組み立てる必要があります |
優先度が高いと言い切れる理由は、店舗数と客数が同時に増えている点にあります。西友の完全子会社化でグループの店舗が増え、その店舗群に来る人も前年を超えています。置ける店が増え、しかもその店に人が来ている。卸の取引先を選ぶとき、この2つは最優先で見る条件です。
ただし、置けば売れるという意味ではありません。営業利益率が約2.3%の相手です。初回の条件提示で無理な掛け率を飲むと、あとから戻すのは難しくなります。優先度は高く、条件は慎重に。これがこの数字から出る結論です。そのうえで、トライアルは1つの社名で性格の違う3つのフォーマットを動かしています。売場の大きさも取扱品目数も、広げる先によってまるで変わります。その違いは記事の後半で整理します。
→ 関連: ディスカウントストア業界分析2026:主要6社の売上ランキングと店舗数

好調の理由は「西友の統合」と「統合後の客数回復」の2つ
2026年6月期の増収は、大部分が西友の完全子会社化によるものです。ただし「買収で売上が乗っただけ」とも言い切れません。統合後の店舗が実際に動いている、と言える公表データがあります。
売上が跳ねた最大の要因は西友の完全子会社化
2026年6月期は西友の完全子会社化後の初年度です。売上高が前期比67.6%増となった最大の要因はここにあります。つまり、既存のトライアル店舗の売上がこの1年で急に伸びたわけではありません。
取引先を評価するときは、この区別が効きます。連結売上高の伸びは「取引できる店が増えた」ことを意味しますが、「1店舗あたりの売れ行きが良くなった」ことは意味しません。
→ 関連: GMS(総合スーパー)業界分析2026:主要5社の売上ランキングと店舗数
西友の既存店客数は回復傾向にある
統合後の動きを見る数字として、西友の既存店客数が公表されています。2026年1月以降はプラス5%超、5月にはプラス10%超まで回復しました(出典:流通ニュース)。
既存店客数は、新規出店の効果を除いた数字です。ここがプラスということは、もともとあった店に来る人が増えているということになります。
西友店舗を業態転換した「トライアル西友」が動き出している
2025年11月・2026年2月・4月に、西友の店舗を業態転換した新フォーマット「トライアル西友」が計3店舗オープンしました。既存店売上高は10カ月連続プラス、客数も10%超まで回復しています(出典:流通ニュース)。
取引先として見るとき、店舗数より「客数」を見る理由
卸の売上は、おおまかに「店舗数 × 1店舗あたりの販売数」で決まります。店舗数だけが増えて客数が減っている相手だと、納入は増えても回転が落ち、返品や取り扱い中止の話が出やすくなります。
→ 関連: 国内卸から理解するリテール業界の全体像|メーカー・ブランド向け解説
1店舗あたりの動きは、既存店の数字で確かめられます。既存店とは、新しく開けた店を除いた、前年も営業していた店のことです。公表されているのは次の3つです。
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指標 |
公表値 |
何がわかるか |
|---|---|---|
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既存店売上高 |
10カ月連続で前年超え |
新店の上乗せを除いても、1店舗あたりの売上が前年を上回り続けている |
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既存店客数(2026年1月以降) |
前年比プラス5%超 |
1店舗に来る人の数が増えている |
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既存店客数(2026年5月) |
前年比プラス10%超 |
回復のペースが上がっている |
出典:流通ニュース。1店舗あたりの販売点数や客単価は公表されていないため、ここでは既存店売上高と既存店客数から、店舗あたりの動きを読んでいます。
店舗数が増え、その店舗群の1店舗あたりの売上と客数も伸びている。この2つが同時に起きている点が、今回の数字で最も注目すべきところです。

伸びているのはPBと生鮮、次に狙っているのは衣料品
どのカテゴリーが動いているのか。公表されている取り組みから見ると、PB(プライベートブランド=小売業が自社で企画・販売するブランド商品)と生鮮が中心で、次の一手として衣料品が挙がっています。
PBの相互導入がグループ約600店舗・325品目規模に広がった
西友の主力PB「みなさまのお墨付き」とトライアルのPB・惣菜が相互に導入され、グループ約600店舗で325品目規模まで拡大しています(出典:フードコネクト)。旧西友の棚にトライアルのPBが入り、トライアルの棚に西友のPBが入る、という動きです。
「みなさまのお墨付き」は消費者テストを通した商品だけが並ぶ
「みなさまのお墨付き」は、第三者機関の消費者テストで80%以上の支持を獲得した商品のみを商品化する、という基準を持つPBです(出典:フードコネクト)。
ここはNB(ナショナルブランド=メーカーが全国に向けて展開し、消費者に広く知られているブランド商品)を納入する側にとって、無視できない条件です。同じ棚に、支持率の裏づけを持つPBが並ぶことになります。
生鮮の次は衣料品PBに力を入れている
生鮮に続く成長カテゴリーとして、衣料品PB(アパレル)の強化に注力していると報じられています(出典:ダイヤモンド・チェーンストアオンライン)。カテゴリーごとの取り組みを整理します。
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カテゴリー |
公表されている取り組み |
出典 |
メーカー側から見た論点 |
|---|---|---|---|
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PB食品・惣菜 |
西友「みなさまのお墨付き」とトライアルのPB・惣菜を相互導入 |
フードコネクト |
同一カテゴリーのNBは、PBと並べて比較される前提で条件を組み立てる必要がある |
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生鮮 |
成長カテゴリーとして位置づけられている |
ダイヤモンド・チェーンストアオンライン |
生鮮の強化は来店頻度に効く。関連購買の対象になる商品かどうかで意味が変わる |
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衣料品 |
生鮮に続く成長カテゴリーとして衣料品PBを強化 |
ダイヤモンド・チェーンストアオンライン |
これから枠を作る領域。既存の取引実績がなくても提案が通る余地がある |
この表に構成比や売上比率を入れていないのは、公表資料で確認できなかったためです。「PBが全体の何%」といった数字は、本記事では扱いません。
PB強化は、納入メーカーにとって脅威にも機会にもなる
PBが増えることは、単純に「棚を奪われる」話ではありません。メーカーから見ると、両面があります。
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脅威の側面:同じ用途の商品カテゴリーでPBが強化されると、NBの棚は絞られやすくなります
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機会の側面:PBを企画するのは小売ですが、中身を作るのはメーカーです。自社ブランドで棚を1つ取るのとは別に、PBの製造を受託できれば、生産の枠をまとめて確保できます。ただしトライアルがPBの製造委託先をどう選んでいるか、募集の窓口があるかは公表されていません。提案してみる価値はありますが、確度は商談で確かめるしかありません
どちらに転ぶかは、自社の商品が「PBでは置き換えにくい特徴を持つか」で決まります。ここまでの判断を自社に当てはめようとすると、迷う部分が出てきます。自社の商品がPBと同じ棚で比較されるとき、掛け率や販促の条件をどう組み立てるか——ここはFBPの無料相談でも、実際によく出る論点です。
レジカートとサイネージで、トライアルの店内は「販促の場」になっている
トライアルの特徴は、店舗のIT化にあります。棚を取ることと、店内で商品を伝えることが、同じ相手との商談で扱われます。
レジカートは、客が自分でスキャンしながら買い物する仕組み
トライアルの店舗には、タブレットを取り付けたショッピングカートがあります。買い物客が自分で商品をスキャンしながら店内を回る仕組みです。
自分でスキャンして会計まで済ませる仕組みである以上、画面で確認できるのは、読み取った商品の一覧と、その時点の合計金額です。レジに並ぶ前に、いくら使ったかが買い物の途中でわかります。
画面にはクーポンとレコメンドの枠がある
画面に出るのは、商品の一覧と合計金額だけではありません。レジカートは、スキャンした商品に関連する商品のクーポンやおすすめ商品を、リアルタイムで画面に表示する仕組みです(出典:日経クロストレンド、2022年11月15日)。何をおすすめするかは、270億件のID-POSデータをもとにしたアルゴリズムが選んでいます(出典:Impress Watch、2021年6月10日)。
メーカーが実際に使った事例も公開されています。カゴメは、牛乳をスキャンした買い物客に「ラブレ」のクーポンを出す実験を行いました。トライアルホールディングスは、データに基づく配信は一律配信と比べて販促にかかるコストが7割減になったとしています(出典:日経クロストレンド、2022年11月15日)。
導入規模も公式に出ています。2026年2月のトライアル西友武蔵新城店の開業リリースには、レジカートが「国内で約22,000台、国内268店舗目の導入」、インストアサイネージが「国内で約3,300台、国内177店舗目の導入」と記載されています(出典:トライアルホールディングス公式ニュースリリース、2026年2月27日)。
音声付きサイネージは福岡全店から西友の首都圏店舗へ広がっている
音声付きデジタルサイネージ「インストアサイネージ」は、2023年に福岡県内の全店舗で導入が完了しました。2026年3月からは、西友の首都圏74店舗にも順次設置が始まっています。焼き芋の売上がサイネージなし店舗と比べて114%増となった事例も報じられています(出典:ダイヤモンド・オンライン)。
AI発注は264店舗に導入済み。発注の相手が変わりつつある
AI発注最適化ソリューション「CIX-自動発注」を、スーパーセンター中心の264店舗に本格導入完了したと公式に発表されています(出典:トライアルホールディングス公式ニュースリリース)。発注量を決める主体が、人からシステムへ移りつつあるということです。
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施策 |
公表されている導入規模 |
出典 |
メーカー・卸から見た意味 |
|---|---|---|---|
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レジカート(スマートショッピングカート) |
国内で約22,000台、268店舗目の導入(2026年2月時点) |
トライアルHD公式ニュースリリース |
買い物の最中にクーポンとおすすめが出る。購買データで相手を絞った販促ができる |
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インストアサイネージ(音声付き) |
2023年に福岡県内全店で導入完了。2026年3月から西友首都圏74店舗に順次設置 |
ダイヤモンド・オンライン |
棚の外に、商品の情報が出る場所がある。売り方の提案が商談材料になり得る |
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CIX-自動発注(AI発注) |
スーパーセンター中心264店舗に本格導入完了 |
トライアルHD公式ニュースリリース |
発注量が担当者の裁量だけで決まらない。欠品や過剰在庫は起きにくくなる |
メーカー・卸から見ると、提案に書ける材料が増える
店内のIT化が進んだ小売との商談では、話す内容が「棚を取れるかどうか」だけで終わりません。レジカートが約22,000台、サイネージが福岡全店と西友首都圏74店舗。どれだけの面があるかは、公表値から先に把握できます。
出稿の単価やAI発注の運用ルールまでは公表されていません。ただ、金額がわからないことと、提案が書けないことは別です。「この商品は、牛乳を買う人のカート画面に出すと効く」「この売場ではサイネージで調理法を見せたい」。面の種類と規模がわかっていれば、ここまでは自分の側で組み立てられます。
今後3年は「基盤づくり」。TRIAL GOで都市部にも広げる
2026年に入って、今後の方針と組織の両方が公表されています。
新中期経営計画は「基盤づくりの3年」と位置づけられている
2026年2月12日、2027年6月期を初年度とする新中期経営計画が発表されました。西友とのPMI(統合プロセス)を軸とした「流通改革に向けた基盤づくりの3年」と位置づけ、2030年6月期以降の本格成長を目指す内容です(出典:東洋経済オンライン、ダイヤモンド・チェーンストアオンライン)。
会社自身が今後3年を「基盤づくり」と呼んでいる点は、取引を考える側にとって重要です。この3年は、仕組みや取引条件が変わりやすい期間だということでもあります。
組織は流通小売事業とリテールDX事業の2軸に再編された
2026年4月1日付で組織改編が行われました。「流通小売事業」と「リテールDX事業」を軸に再編し、「競争戦略本部」を新設。トライアルカンパニーを流通小売事業の中核会社とし、永田洋幸トライアルHD社長が兼任する体制になっています(出典:流通ニュース)。
TRIAL GOは西友の大型店を拠点にした都市部のサテライト型店舗
都市部進出フォーマット「TRIAL GO」が、2025年11月7日に東京都杉並区・練馬区へ初出店しました。西友の大型店舗を拠点に高頻度配送する「サテライト型店舗」として展開されます。福岡では2024年4月末時点で43店舗まで拡大しています(出典:トライアルホールディングス公式ニュースリリース、ダイヤモンド・チェーンストアオンライン)。
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フォーマット |
公表されている立地・位置づけ |
出典 |
|---|---|---|
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スーパーセンター |
AI発注「CIX-自動発注」がスーパーセンター中心の264店舗に導入済み |
トライアルHD公式ニュースリリース |
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トライアル西友 |
西友店舗を業態転換した新フォーマット。2025年11月・2026年2月・4月に計3店舗オープン |
流通ニュース |
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TRIAL GO |
都市部進出フォーマット。2025年11月7日に東京都杉並区・練馬区へ初出店。西友の大型店を拠点に高頻度配送するサテライト型 |
トライアルHD公式ニュースリリース/ダイヤモンド・チェーンストアオンライン |
売場の大きさは、フォーマットによって二桁違う
3つのフォーマットは、売場の広さがまるで違います。公表されている実際の店舗の数字を並べます。
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フォーマット |
売場・店舗面積 |
取扱品目数 |
出典 |
|---|---|---|---|
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スーパーセンター |
売場面積1,500坪を標準とする |
公表値を確認できず |
ダイヤモンド・チェーンストアオンライン(2023年5月11日) |
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トライアル西友(武蔵新城店の例) |
約1,207坪 |
約28,000品目 |
トライアルHD公式ニュースリリース(2026年2月27日) |
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TRIAL GO(西荻窪駅北店の例) |
約50坪 |
公表値を確認できず |
トライアルHD公式ニュースリリース(2025年11月7日) |
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TRIAL GO(福岡・麦野5丁目店の例) |
約56坪 |
約2,700SKU |
ダイヤモンド・チェーンストアオンライン(2024年5月10日) |
同じ「トライアルに卸す」でも、1,200坪の店と50坪の店では、置ける商品の数が違います。約28,000品目を扱う店なら、細かく分かれたカテゴリーにも枠があります。約2,700SKUの店に並ぶのは、毎日買われるものだけです。自社の商品がどちらに載りうるかは、この差を見れば見当がつきます。
そのうえで、広げたいフォーマットの店舗を1つ選んで、実際に売場を見てください。棚の高さ、什器の種類、同じカテゴリーに何ブランド並んでいるか。この3つを見るだけで、提案の精度は変わります。
→ 関連: 小売展開をほぼリスクゼロから始める スモールスタート戦略
トライアルは同じ社名でも、3つのフォーマットで中身が違う
取引を広げる先を考えるとき、トライアルを「1つの取引先」として見ないほうが正確です。公表されている情報の範囲でも、3つのフォーマットで店舗の作りと商品の届き方が違います。
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九州のスーパーセンター:AI発注「CIX-自動発注」が264店舗に本格導入されている店舗群です(出典:トライアルHD公式ニュースリリース)。発注が自動化されても、メーカー側でやることが大きく変わるわけではありません。欠品や過剰在庫が起きにくくなる、という程度に見ておけば十分です
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首都圏の西友転換店舗:客数が回復傾向にあり、サイネージの設置も始まっている店舗群です(出典:流通ニュース、ダイヤモンド・オンライン)。客層の違いは、立地と商圏の広さから読めます。スーパーセンターは売場1,500坪を標準とする郊外型で、駐車場は時間を問わず混雑し、新店のオープン時には周辺道路で渋滞が起きると報じられています(出典:ダイヤモンド・チェーンストアオンライン)。車で来て、まとめ買いをする買い方が中心です。対してトライアル西友の商圏は、これまで徒歩10〜15分圏内とされてきました(出典:流通ニュース)。歩いて来て、その日に食べるものを買う買い方です。さらに、業態転換前の西友店舗ではシニア層の利用が多く、転換後は若年層・ファミリー層を増やしたい狙いだと報じられています(出典:流通ニュース)。まとめ買い向きの大容量・徳用サイズはスーパーセンター、少人数向けの小容量やすぐ食べられる商品はトライアル西友。自社の商品がどちらの買い方に合うかで、出す先の順番が決まります
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TRIAL GO:西友の大型店を拠点に、高頻度で商品が届くサテライト型の小型店です(出典:ダイヤモンド・チェーンストアオンライン)。サテライト型とは、店舗が自前で在庫を抱え込まず、近くの大型店を母店にして、必要な分だけ短い間隔で運び込む形を指します。商品の届き方も公表されています。都内1号店の西荻窪駅北店は、既存の大型店舗を拠点に高頻度で商品を配送するサテライト型で、店舗面積は約50坪です(出典:トライアルホールディングス公式ニュースリリース)。福岡のTRIAL GO麦野5丁目店は約56坪・約2,700SKUで、総菜は近隣店舗から供給されています(出典:ダイヤモンド・チェーンストアオンライン)。つまり、卸す側が商品を届ける先は各店舗ではなく、その母店です。50坪の売場に約2,700品目が並ぶ以上、1店舗が1回に受け取る量はごく少量になります。ケース入数が大きい商品や、1回の最低出荷ロットが大きい商品は、TRIAL GOから広げるより、スーパーセンターやトライアル西友から入るほうが噛み合います
「掛け率や販促費の条件提示を受けたが、妥当かどうか判断できない」「次に広げる先を絞りきれない」。こうした段階なら、30分の無料相談で論点を整理できます。


よくある質問
トライアルの売上が急に伸びたのは、西友を買収したからですか
2026年6月期の売上高が前期比67.6%増となった最大の要因は、西友の完全子会社化です。ただしそれだけではありません。西友の既存店客数は2026年1月以降プラス5%超、5月にはプラス10%超まで回復しています。買収による上乗せと、店舗自体の動きの両方があると見るのが妥当です。
営業利益は過去最高なのに、当期純利益が減っているのはなぜですか
差は2か所で生じています。まず営業利益303億7,100万円から経常利益201億8,600万円へ、約102億円減っています。これは営業外収益と営業外費用の差し引きで生じる部分です。次に経常利益から当期純利益35億2,200万円へ、約167億円減っています。ここは特別損益と法人税等の段階です(出典:トライアルホールディングス2026年6月期決算短信、2026年8月13日発表)。第4四半期には、借入金の借り換えに伴う一過性の費用55億円を計上したと報じられています(出典:ロイター)。
レジカートのクーポンや広告は、メーカー側から出せるのですか
出せます。レジカートは、スキャンした商品に関連する商品のクーポンやおすすめ商品を、リアルタイムで画面に表示する仕組みです(出典:日経クロストレンド)。カゴメが牛乳をスキャンした買い物客に「ラブレ」のクーポンを出した実験のように、メーカーが使った事例も公開されています。導入規模は、2026年2月時点で国内約22,000台・268店舗目と公式リリースに記載があります(出典:トライアルホールディングス公式ニュースリリース)。ただし、出稿の単価や申し込みの窓口は公表されていません。金額の目安は、取引の条件を詰める段階で提示を受けて確かめることになります。
取引を広げるなら、九州と首都圏のどちらを先に考えるべきですか
一律の正解はありません。判断の軸は、自社商品の物流条件です。九州のスーパーセンターと首都圏の西友転換店舗、TRIAL GOでは、立地も配送の形も違います。いま取引している店舗と同じ納品条件で対応できるのはどこか、という順で絞るのが現実的です。
まとめ
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増収は続いており、2026年6月期は売上高1兆3,471億円・営業利益303億円と過去最高を更新しました
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ただし増収の主因は西友の完全子会社化です。連結範囲が変わった期をまたいで、単純に成長率として比較することはできません
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店内のIT化により、棚を取るだけでなく、店内での見せ方や発注の仕組みまでが商談の論点になります
次のような状態なら、自社だけで抱えるより、一度整理したほうが早く進みます。
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提示された掛け率や販促費の条件が、妥当かどうか判断できない
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次に広げる先を絞りきれない
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サイネージやレジカートのような販促枠を、どう見積もればいいかわからない
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